« 余った命 | トップページ | ぷんぷいさん、写される »

2009年8月23日 (日)

シンフォニエッタ

常に自分が買うものは把握しておけ。
金儲けの秘訣 ・第218条)



村上春樹氏の最新作、1Q84が話題になった。
少なくとも当初は、内容ではなく、
その爆発的な売れ行きが話題の中心だったように思う。
ぼくも予約して買った口のなのだが、
以前からこんな風だったかな、と思い起こしてみると、
海辺のカフカ、という作品もそういえば、話題になり、
ベストセラーになったよな、と思い出した。

ところで、むかしからかれの作品を読んでいるヒトは
よくご存知であろうと思うが、作中に音楽の話題がよく出てくる。
あげれば切りがないので、興味があるヒトは
読み返してみてほしいが、当初はジャズやポップスが
多く取り上げられていたような印象がある。
けれどデビュー作の、風の歌を聴け、でも、
ベートーベンのピアノ協奏曲が出てきたりしたので、
必ずしも、趣味が変容してきている、とばかりもいえないようだ。

今回の、1Q84、では、登場人物が
ジョン・ダウランドのリュート作品や古い時代のジャズ、
ローリングストーンズなんかを聴くシーンもあったけれど、
冒頭から一貫してストーリーと密接に関連しているのは、
ヤナーチェク(村上氏はヤナーチェックと書いていた)、
というチェコの作曲家の、シンフォニエッタ、という曲だった。

シンフォニエッタとは何か、とつい調べたくなるけれど、
元来小交響曲というような意味のイタリア語らしい。

でわ小交響曲とは、
小規模の楽器編成で演奏される交響曲なのか、
交響曲としては時間的に短い、小さめの作品なのか、
とまた疑問が沸いてくる。
また、小交響曲、を考える前に、ところで、
そもそも交響曲とはなんだ?
と考えると、これはこれでまた難しい。

本来は、一定の形式をもった、通常3楽章から4楽章
からなる管弦楽組曲、ということらしいが、
例外が多すぎて、あてにならない。
どおも、作曲者が、交響曲、といえば交響曲、というのが、
一番それらしい定義のような気がするな。

さて1Q84でのシンフォニエッタだが、時代的な要素もあって、
第1巻で、主人公のひとりである天吾が聴いていたのは、
ジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団演奏のレコードで、
第2巻で、もうひとりの主人公である青豆が聴いていたのは、
小澤征爾指揮シカゴ交響楽団演奏のレコードだった。

発売当初、アメリカのコンクールで優勝した、
辻井伸行氏のCDとともに、HMVのネット販売の上位に、
ジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団の、
この曲のCDがランクインしていて、

なんで今、ジョージ・セルなの?

というのが最初わかならなかったのだけれど、読み進むうちに、
そのシーンにあたって、やっと理解できたのんだ。
小澤盤も、HMVでは販売されていたが、アマゾンでは品切れ、
というときがあり、本来1000円ほどのCDに、
10000円以上の値段をつけて、
売っていた出品者もいたようだ。
売れたかどうかは、知らんけど。

ちなみに、ぼくはこの曲を、
ラヂオでは聴いたことはあったのだけれど、
所有している2000枚以上のCDのなかには、
シンフォニエッタはおろか、ヤナーチェクの作品が
はいったものが1枚もなかったのに、逆に驚いたりした。
別に選んで買わなくても、けっこうまとめ売りのCDのなかに、
有名どころの作品は紛れ込んでいたりしたのだけれど、
ヤナーチェクだけは、でんでん入っていなかったようだ。

村上氏がヤナーチェクのシンフォニエッタを
作中に使用したことで、
これからクラシック音楽に親しむヒトもでてくるのだろうが、
ぼくからすると、クラシック入門が、ヤナーチェク
というのはどうにも違和感があるけれど、
これも、縁、というものだろう。

村上朝日堂から、村上作品に入った、
という読者もいるようだしね。


▼1Q84、を読んでいてうれしかったのは、
ねじまき鳥クロニクル、で登場した、
牛河氏が、この作品に登場してたことだ。
もちろん、同姓の別人、の可能性もあるだろうが、
そうそうある苗字でもなく、
風体もファッションセンスも一致しているし、
話し方もそっくりだし、時代的にも無理がない。
1984年当時政治家の秘書をしていたと思われる牛河氏が、
宗教団体からの交渉人(と思われる使者)として現れる。
この本だけの読者には、かれの素性はわからないけれど、
以前からの読者にはある示唆が与えられる、
ようになっているわけだ。
ま、それ以上に、羊男氏同様、牛河利治氏は、
作者が愛するキャラクターのひとりなのかもしれないな。

1q84

« 余った命 | トップページ | ぷんぷいさん、写される »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 余った命 | トップページ | ぷんぷいさん、写される »