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2008年8月20日 (水)

リヒテルのシューベルト

コレクションの唯一の価値は、他の誰かに売りつけられることだ。
金儲けの秘訣 ・第135条)



ヴィルヘルム・ケンプのシューベルトを聴いていたら、
発作的に思い出したことがあった。
ピアノ・ソナタの13番D664をぼくはむかし愛聴していた、
ということを。

でも、なんでそれが好きだったのか、誰の演奏で聴いていたのか、
しばらく思い出せだせなかった。
少なくても、iPodには、ケンプ以外のこの曲は、
収録されていない。
ということは、レコードか、カセットテープで
聴いていたのだろう。

ケンプの演奏が悪い、ということではないが、
若い日、ぼくが聴いていたのは、でんでん違う音楽だった。

もっと可憐で、胸が締め付けられるような、
そんなシューベルト
だった。

ケンプの演奏にオーバーラップして、
むかしよく聴いた、その演奏が、頭のなかによみがえる。

パソコンで、検索していくうちに、思い出した。

おそらくその演奏は、1979年、東京文化会館で行なわれた、
リヒテルのコンサートでのライブをレコード化したもののようだ。

スヴァトスラフ・リヒテルは、ソ連時代のロシアの、
真に巨匠といえる、ピアニストのひとりだ。
当時、ソ連の演奏家は東西を壁を自由に越えることができず、
かれもまた、当初西側には神秘のベールに包まれていたらしいが、
その存在が明らかにつれ、かれの芸術性は、
西側でも大いに認められることとなった。

それゆえか、当時のソ連のピアニストの中では、
おそらくずば抜けて、西側の聴衆に接する機会が多く、
また、多くの演奏がスタジオ録音やライブテープなんかで
残っているようだ。

同時代のソ連の巨匠的ピアニストでは、
エミール・ギレリスもまた有名であるが、
現在、かれのCDで手に入るものは、
HMVで単純に検索してみると、リヒテルの半分以下でしかない。
また、西側での実質的なデビューが遅かった
ラザール・ベルマンなんかは、さらにその半分しかあたらない。

リヒテルはまた、ヤマハ製のピアノを使用したことでも有名だ。
当時、クラシックのコンサートで、
ピアノという楽器を使用するひとの多くは、
スタインウェイアンドサンスのものを使用するひとが多く、
なかには、ベーゼンドルファーベヒシュタイン
使用するピアニストもいるにはいたが、少数で、
ヤマハ、というと、リヒテルくらいしか思いつかない。

このような状況は、あるいは今でも、同じかもしれない。

このへんの事情は、プロジェクトXでも放送していたが、
かれが、ヤマハを選択してくれたことは、
ヤマハにとっても、日本にとっても、
ラッキーなことだったと思う。

検索ついでに、リヒテルのそのCDを注文した。
音楽もまた、脳みそのどっか奥深くに格納されているのだな、
と教えてくれた、リヒテルの演奏に感謝。。。(-人-)



▼届いたCDを聴いてみると、ライブらしい、
演奏中の咳払いなどもしっかり記録されていた。
演奏後には、ブラボーおやじも出現していたしさ。
しかしながら、名演の誉れ高い演奏のせいか、
難しい顔でジャケット写真に写ってることの多い、
リヒテルさんの表情が心なしか、優しい。

Photo





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