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2007年4月 9日 (月)

許容の範囲

まず売ってしまえ。質問はそれからだ。
金儲けの秘訣 ・第53条)



以前、故グレン・グールドのことを書いたことがあるけれど、
かれの新譜が発売されたようだ。
それは、1955年にモノラル録音で米国のCBSが発売し、
かれが演奏家としての名声を確かなものにした、
記念碑的な作品である、バッハのゴルトベルク変奏曲集の、
デジタル録音盤だ。

1980年代にすでに亡くなったかれがなんで今、新譜を?
といぶかる向きもあるかもしれない。
しかしながら、演奏者が亡くなってから、
今までCD化されていなかった音源が、商品として販売される
ことは実はよくあることで、クラシック界に限らず、
しばしば発生する事態なのである。

とくに、演奏者がレコード嫌いであったり、
完全主義者であったりして、
本人がOKを出さなかったした音源が、その死後に、
遺族がCD化を認めたり、著作権の保護期間が切れたりして、
商品化されたりする例は、最近すごくたくさんの例が見られるし、
今後もきっと、ライブ録音を中心に多くでてくるのだろう、
と思う。

しかしながら、今回の録音に関しては、少し事情が違っている。
グールドの再創造、というこのCDの題名が示すとおり、
このCDは、モノラル録音だった音源をもとに、
技術者がこの演奏をコンピュータで解析した結果を
自動ピアノで再演奏、したのものなのだ。

これは、グールドの演奏である、といっていいのだろうか。

録音された音源に関しては、時代時代に可能な方法で、
いろいろな形での改竄、といって悪ければ、
リマスターがなされてきた。

たとえば、一番スタンダードなものとしては、
1曲を作るのに、いいところだけをつなぎ合わせたり、
問題のあるところを差替えたりする方法だ。
これによって、本人がとても歌えなかったり、
演奏できないような、完璧なレコードがたくさん生産されてきた。
ライブ録音でさえ、数日の公演がおこなわれるときは、
このようなリマスターが行なわれることがある、とも聞く。

これは、本人の演奏である、といえるのか否か。

また、ステレオ全盛時代には、モノラル音源を無理やり、
ステレオ録音風にリマスターした、擬似ステレオ
というようなレコードがよく発売されていた。

これは、どうだろうか。

また最近、たまたまテレビで見たのだけれど、
外国で弾いているピアノのデータをインターネット回線で送って、
日本のスタジオにある、ピアノでも演奏する試みがなされていた。

これは、本人の演奏なのだろうか、違うのだろうか。

グールドの再創造、というCDは、なかなかに意欲的な試み、
といえるかもしれないし、一種の詐欺行為、なのかもしれない。
しかしながら、これが本人の演奏である、ということになれば、
同様の手法で、もっといろんな過去の演奏家たちの再創造が
なされるかも、と思うと、わくわくしないでもないんだよなー。

さらには、音楽演奏にとどまらず、
物故作曲家の、コンピュータによる再創造や作風の模倣、
などがふつうに行なわれる時代が来るかもしれない。
バッハや、モーツァルトのコンピュータによる、
新作、なんていうことが可能になったりしてね。

ま、それはそれで楽しいのかもしれないが、
しかしながら、どこまでが本人の演奏なのか、
どういう風に、それを表記すべきなのか、ということは、
どっかで論議されたり、決定されねばならないのだろうな。

自分のこどもを他人が生んだり、
自分の死後、自分の子どもを嫁さんが妊娠してくれる時代だし、
CDの名義ゴトキは、いちいち目くじらたてなくても、
なんだってOK、なのかもしれないけれどね。


▼それにしても、進歩、と言っていいのだろうか、
最近は、なんでもできちゃうのんが怖いくらいだねー^^
こないだ買った、奥さまは魔女、の第1シーズンも、
白黒のフィルムにあとから色つけたものらしいけれど、
見ててでんでん違和感なかったし^^;
まさに、魔女の仕業、といってもいいのかも。。。

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